農業技術体系データベースを用いた営農計画支援システムFAPS-DB



 
FAPS-DB(ファップス ディービィー)は、農業技術体系データベースに登録された作目別の技術・経営指標データを用いて営農指標や営農計画の作成を支援するシステムです。
 本システムの利用により、簡単な操作で新作物や新技術を導入した詳細な営農計画を簡単に作成することが可能になります。

 このたびFAPS-DBのサブシステムのうち、インターネッ ト上で簡単に農業経営のシミュレーションができる「農業技術体系データベー ス・システム」を実用性の検証を行うため一般に公開(利用無料)します。 農業技術体系データベース・システムは、中央農業総合研究センター生産支援システム研究チームが、岩手県農業研究センターおよび三菱スペース・ソフトウエア(株) と共同開発したものです。

 今後は、 九州大学農業経営学研究室と共に共同研究・開発を実施します。
 システムを使用されたご感想やご希望などは、下記へお願いいたします。

【研究担当者】
 九州大学大学院農学研究院 教授 南石 晃明
  元・独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構
  中央農業総合研究センター 生産支援システム研究チーム長(2007年3月まで)

 中央農業総合研究センター
  生産支援システム研究チーム 研究員 佐藤 正衛

 岩手県農業研究センター
  企画経営情報部 農業経営研究室 主任専門研究員 前山 薫

 FAPS-DB連絡先 GijyutuTaikeiDB@ml.affrc.go.jp

免責事項
 本システムは十分にテストをしていますが、お使いのPCの環境や、プログラムの不具合、データの不整合などによって問題が生じる場合があります。システムの利用や提供される情報、試算結果によって生じる如何なる損害にも、一切の責任を負いませんので、あらかじめご了承ください。



 
 FAPS−DBは、以下のように複数のサブシステムから構成されています。

 サーバ用システムである農業技術体系データベース・システムは、下記の2つのシステムから構成されており、Web上から利用できます。

農業技術体系データベース(FSDB)
作物・品種・栽培様式、使用資材、機械、労働時間等を総合的に管理するデータベース

 「農業技術体系データベース」は、農薬や肥料などの農業資材の価格・投入量・費用、農業機械や施設などの価格・耐用年数・減価償却費・性能、労働時間、作物の在圃期間、収量や販売価格など、生産から財務まで広範囲なデータを農作業スケジュールと関連づけて蓄積・共有できるデータベースです。
 本データベースは営農計画作成のほか、開発技術の経営評価、農業生産の環境影響評価などにも活用することができます。

 現在、利用できる農業技術体系データは、岩手県農業研究センターが作成した標準技術体系データ(125体系)のみです。
 農業技術体系データベースに地域独自のデータを登録し、営農計画作成などに活用したい都道府県およびJA等を募集しています。

営農指標作成システム(FMIGS)
FSDBを利用し、簡易な操作で営農指標をグラフ・帳票形式で表示できるWebシステム

 農業技術体系データベースを利用し、Web上の対話形式による簡単な操作で営農指標を作成し、グラフや帳票形式で表示することができます。
 具体的には、作物・品種・栽培様式を選択し、栽培面積を入力するだけで、指定した規模の営農指標が作成できます。

 また、本システムは、青果市況情報データベースNAPASSと連動しており、NAPASSから得られる産地別・市場別の価格データを適用した営農指標の作成もできます。

※ 営農指標とは、営農計画を実行するために必要となる経営資源(土地、労働、機械・施設、資金など)の種類・量や収益・費用を推計した指標です。 



営農計画作成システム(FSDBout,FAPS)
営農指標データを用い、利用者の目的に合わせた営農計画を作成するシステム(2種類)

 「営農指標作成システムFMIGS」で作成した営農指標データを利用して、試算計画法による実務的な営農計画から数理計画法を用いた分析的な営農計画まで、利用者の目的に合わせた多様な営農計画を作成するシステムです。
  現在、利用できるシステムは、営農計画試算ツールFSDBout
営農技術体系評価・計画システムFAPS2種類あり、パソコンにシステムをインストールしてから利用します。

 各システムの概要、入手方法は、下表をご覧ください。
システム名 営農計画試算ツールFSDBout 営農技術体系評価・計画システムFAPS
利用目的 試算計画法による実務的な営農計画の作成 数理計画法を用いた分析的な営農計画の作成
機能・特徴
 「営農指標作成システムFMIGS」で作成した営農指標データを使って、営農計画試算表を作成するシステムです。
 「営農指標作成システムFMIGS」から得られる「営農指標データ」は、必要となる経営資源を所有していることを前提としていますが、経営が特定されており、所有する経営資源(土地、労働力、機械・施設)を反映した営農計画を作成する場合や、農業機械・施設について詳細に設定を行いたい場合に、このツールを用います。
 気象変動等の営農リスクを考慮して、新規作物・部門の導入、農業機械・施設投資、規模拡大、資金借入といった農業の重要な経営意思決定を支援する高度な情報を提供するシステムです。
 FAPS
は、単独で使用できるシステムですが、「営農指標作成システムFMIGS」で作成した「営農指標のデータ」から必要なデータを取り込む「営農指標データFAPS取り込みツールToFAPS」が準備されています。このツールを利用して営農指標データを取り込むことにより、FAPSでのデータ設定作業が軽減されます。
詳しい説明・
入手方法
こちらをご覧ください。
利用申請が必要です。
詳しくは、FAPSホームページをご覧ください。


[論文]
1)  南石晃明・松下秀介・池田正弘(2003)営農計画のための農業技術体系データベースの試作,農業情報研究,12(2):133-152.
2)  前山 薫・南石晃明・本田茂広・法隆大輔(2006)農業技術体系データベースの効率的な構築手法、農業情報研究、15(1):25-47.
3)  南石晃明・前山 薫・本田茂広(2007) 農業技術体系データベースを用いた営農計画支援システムFAPS-DB,農業情報研究,投稿中
[口頭発表]
1)  南石晃明・本田茂広(2003)ブローカーサーバ技術による分散協調型農業技術体系データベースの設計と試作,農業環境工学関連5学会2003年合同大会講演要旨,274.
2)  南石晃明・松下秀介(2003)農業技術体系データベースFSDBの利用実験―試作版を対象に―,農業環境工学関連5学会2003年合同大会講演要旨,275.
3)  前山薫・南石晃明(2004)農業経営支援システムの課題と今後の開発方向―岩手県におけるアンケート分析―,日本農業経済学会2004年大会要旨,32.
4)  前山薫・南石晃明(2004)農業技術体系データベースを利用した経営シミュレーションシステムの概念設計,農業環境工学関連4学会2004年合同大会講演要旨,130.
5)  南石晃明・本田茂広・前山薫ら(2004)農業技術体系データベースFSDB for Webの開発と応用例,農業環境工学関連4学会2004年合同大会講演要旨,131.
6)  南石晃明・本田茂広(2004)農業技術体系データベースにおけるSOAPによるWebサービスの実装,農業環境工学関連4学会2004年合同大会講演要旨,132.
7)  南石晃明・本田茂広・前山薫 (2005) 農業技術体系データベースにおけるWebサービスの実装の拡張,農業環境工学関連7学会2005年合同大会講演要旨集:114.
8)  前山薫・南石晃明・本田茂広(2005)農業技術体系データベースデータ作成方法および入力インターフェイスの試作,農業環境工学関連7学会2005年合同大会講演要旨集:197.
9)  南石晃明・本田茂広・前山薫・大塚彰(2006)分散協調型農業技術体系データベースを用いた生産計画支援システムの開発,農業環境工学関連学会2006年合同大会講演要旨(CD-ROM版)
10)  前山薫・南石晃明・本田茂広(2006)農業技術体系データベース・システムの活用例と改善方向,農業環境工学関連学会2006年合同大会講演要旨(CD-ROM版)
[研究成果情報]
1)  営農計画のための農業技術体系データベースシステム,平成17年度共通基盤研究成果情報